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農業と食の話|種苗法改正問題とは?

種苗法改正の要点

種苗法とは?

植物(農作物や花き、果樹など)の新品種の保護のための品種登録に関する制度を定めた法律で、植物の特許法ともいえる法律です。

種苗法において、特許権に相当する権利を「育成者権」といい、日本国内においては 25年(30年)間、権利が保護されます。

出典 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/tizai/brand/b_senryaku/pdf/ref_data-2.pdf

種苗法改正案(2020.5現在、国会提出➡採決見送り)

種苗法改正の中心は、現在は、原則自由な品種登録された品種の利用(種取り、増殖など)が、一律禁止され、許諾性となるというもので、

育成者権を持つもの、つまり、開発者の保護が強化され、問題となっている国外への持ち出しを法律で抑制することを目指すものです。

出典:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/tizai/brand/b_senryaku/pdf/ref_data-2.pdf

この法改正は一見、育成者保護を強化する、非常に意味のあるものように思えますが、しかし、以下のような問題を包含しています。

一般品種の登録は主に特性表を使用➡DNAによる差異を判断するのは極めて困難

次のような品種はDNDによる差異を分析することが可能ですが、これ以外は、DNAで差異を判別することが不可能ということです。

品種登録する際には「特性表」と担当官による目視などで判別

➡一般品種と思っていた植物がいつの間にか登録品種に

海外への持ち出しは種苗法では防げない

海外流出を防ぐ方法は、先に農水省が示している通り、海外で品種登録することが唯一の方法です。

UPOV条約という国際条約がありますが、これは、各国て登録する猶予期間を定めたものであり、期限内(4年、果樹6年)に登録しないと種苗登録できる権利は失効します。

また、批准している国が全世界ではありません(75か国批准)。

したがって、こちらの方を国が積極的に責任をもって対応すべきであり、専門的なサポート機関や農林水産省自体が責任をもって海外への品種登録を推進(というか代行してもいいくらいです。)すべきでしょう。

出典 農林水産省http://www.jaja.cside.ne.jp/kenkyukai/deta/180912.pdf

種苗法が改正に至るまでの流れ

農協法の改正 2016.4.1施行

種子法の廃止 2018.4.1廃止

都道府県に主要農作物( コメや大豆、麦など )の種苗の生産を義務付けた法律で、県が推奨品種などの種苗(種苗とは植えることができる苗のこと)予算措置をする根拠となっていました。

2018年に廃止されましたが、これにより、県の種苗生産能力が落ち、つまり、安価な苗の供給体制が縮小傾向になる懸念があります。

農業競争力強化支援法の制定  2017.8.1施行

上記の都道府県の種苗に関する知見やまにの研究機関である農研機構の知識を民間に提供することを定めた法律で、これにより、外資にも知見が流出することを容認したことになります。

今回の種苗法の国外持ち出し規制強化せざるをえない理由の根本原因は、この法律が現況あるという有識者もいます。

残留農薬基準の緩和 2017.12.5

厚生労働省は告示を緩和し、例えばグリホサート(枯葉剤)の規制値は、小麦などで6倍(5倍~200倍)甘く緩和されました。

食 品改正前2017改正後国際基準
(CODEX)
小麦53030
大麦203030
ライ麦0.23030
とうもろこし155
そば0.23030
その他の穀類203030
小豆類 21010(豪)
テンサイ0.21515
ひまわり種子0.14040(米)
ごま種子0.24040(米)
べにばな種子0.14040(米)

問題点

改正されると、自家採取が禁止される

自家採取農家は野菜で半数以上(10年前の調査では7割)いるとされ、当の農家も抵抗なく自家採取していますが(合法なので)、種苗法改正は、おそらく、多くの農家がノーマークだと思います。

平成20年農林水産省のアンケート調査より

品目によっては、自家増殖が主流の作物もあり、食べ物であれば、イモやイチゴが自家増殖主体の傾向があります。

今はまだ大丈夫ですが、

等の理由で、将来、自由に利用できる種、苗がなくなることが懸念されます!!

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