70歳定年法ってなに?|どうなるこれからの日本社会

ビジネス・副業・起業

70歳定年法の国会提出の話題が取りざたされていますが、70歳までの就業機会の確保を企業に義務化(努力義務)するものですが、これは、高年齢者雇用安定法を改正することにより対応するものです。

高齢者雇用安定法とは?

高齢者雇用安定法の趣旨

所管:厚生労働省

目的: 年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備、高年齢者の雇用確保措置を充実させる

高齢者雇用安定法の内容

定年とは、就業規則で定める○○歳でこの会社が雇うことをやめる (又は○○歳で退職する) という期限ですが、高齢者雇用安定法は、

❶定年を定める場合➡60歳を下回ることはできないとし、➡定年は60歳以上
 
❷65歳未満の定年を定めている事業主は、希望者全員に対して65歳までの雇用を確保のため、
(1)定年の引き上げ

又は、
(2)継続雇用制度の導入

もしくは、
(3)定年の定めの廃止

 
のどれかの措置が必要とされています。※継続雇用先は関連会社などでも可能です。
 
3、義務違反の企業への罰則としては、その企業名を公表する=ブラック企業の烙印が押される。ということになっていますが、

今回の法改正では、さらに定年を引上げる措置が行われるということで、すでに閣議決定されています。これを通称「70歳定年法」といい、他の5法と併せて改正を目指しています。

「70歳定年法」でどうなるの?

人生100年時代とか言っていますが、要するに、年金を延命するために、無理やり定年を伸ばすということです。

高齢者の活躍の場を整備することを目的に、法律が改正されると言っていますが、要するに「70歳まで年金は支給しない」という政府の意思表示とも取れます。

さて、今後どうなるかというと、70歳定年法は次のような説明が2019年半ばに公表されています。

未来投資会議(第27回) 配布資料 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai27/index.html

第一段階の改正内容

第一段階では、事業主(つまり会社側)に努力義務をもうけ、罰則はないものの、以下のような措置が促されます。

企業は65歳以降の選択肢として次の7つから選ぶことができる。❶定年廃止、❷70歳までの定年延長、❸継続雇用導入、❹他の企業への再就職の実現、❺個人とのフリーランス契約への資金提供、❻個人の起業支援、❼個人の社会貢献活動参加(?)への資金提供

1、70歳定年法の雇用による措置

以下の4つが雇用による措置ですが、要するに現行の65歳まで➡何らかの手段で70歳まで雇用の面倒を見ろということです。

  1. 定年廃止
  2. 70歳までの雇用延長
  3. 定年後または65歳までの継続雇用終了後も70歳まで引き続いて雇用(子会社・関連会社等含)
  4. 定年後または65歳までの継続雇用終了後、子会社・関連会社等以外の再就職の実現

こけらのどれかを講じなければならないということを、法律上義務付けるということです。

次に雇用以外の措置というものがありますが、こちらはいかがなものかと思いますが、

2、雇用以外の措置

以下の2つが雇用以外の措置として規定されていますが、65歳で企業から放り出すのであれば、フリーランス(個人事業)として契約するなり、起業を支援するなりして70歳まで面倒を見ろということです。

  1. 定年後または65歳までの継続雇用終了後に創業(フリーランス・起業)する者との間で、70歳まで継続的に業務委託契約を締結
  2. 定年後または65歳までの継続雇用終了後に以下のいずれかの事業による活動に70歳まで継続的に従事する
  • 事業主が自ら実施する事業
  • 事業主が委託、助成、出資等するNPO等の団体が行う事業

というもので、つまり定年後やめた社員については、企業が仕事をあてがう、または、企業が作り出した事業や団体に従事させるということで、これは、官僚の天下り制度のフルコピーとも言えます!!

これは、一言で言うと「絵空事」であり、バブル期のように経済が伸びていれば可能かもしれませんが、このようなことができる裕福な企業はごく僅かです!!

トヨタ自動車ですら、終身雇用制を維持できないと、日本型経営の継続に白旗を上げているというのに、これが実現できるのは、一部の公務員くらいです。

たとえ公務員であったとしても、財政状況の厳しい地方公共団体には、相当ハードルが高いとわざるを得ませんのて、

ほとんどの企業は、前回までに説明した「同一労働・同一賃金」、「働き方改革」、「70歳定年法」の3つの制度を、そのまま受け入れることは物理的に不可能でしょう!!

当然、表面上は、「実行するふり」はするとは思いますが、実際は、

  • 正規労働者の非正規化
  • 従業員減らしのためのIT化
  • 一応70歳定年法を受け入れるが、賃金は最低賃金程度+α程度
  • 全世代的な賃金の調整のため、若者の賃金を抑制(昇給、昇格させない等)
  • 政府は、年金支給開始年齢の後倒し一律70歳以降に?

などが現実味を帯びてきます。

全体的な人件費を抑えるため、抜本的な改革(改悪)を進めることは明らかで、このような制度に乗っかって得をするのは一部のエリート(いわゆる上級国民ですね。)くらいで、大半は「枕を並べて討ち死に」です?

したがって、今60歳未満の労働者は、待ったなしで対策を講じる必要があります!!

こうした波に飲み込まれる前に”自分で生きる力”を付けなければなりません。

今、この記事を読まれているあなたが、30代以降であるならばそう急に対策してください!!

さて、次は、これらの制度をとりあえず法制化したら、いよいよ、第2段階に移行します。

第2段階の改正内容

第2段階の法整備は、企業名公表制度が検討されています。

つまり、最初は努力義務であった70歳定年を定着させていくということで、応じない企業は「名前をさらす」という恐ろしい制度で、公表された企業は、ブラック企業の烙印が押されるわけです。

定年70歳で労働者は誰も幸せにならない

「70歳まで安心して働ける」とノンキなことを言っている場合ではありません!!

これは、実質的に破たんが予想される年金制度の問題を先送りするためのもので、仕組みだけ作り、年金問題のお茶を濁すという意図がありありと見えます!!

労働市場は三つ巴の戦いに|非正規市場に外国人のほか”高齢者”が参戦!!

非正規・有期労働者の市場に、外国人のほか、新たに高齢者が加わることにより、労働力の低価格競争が起こります。これは、賃金のデフレとも言え、日本全体の賃金の引き下げにつながるでしょう。

企業側も、無駄な雇用コストを想定しなければならず、現役時代に一定のポストにいた従業員の待遇をどうするかという問題を検討せざるを得ず、

企業側にとっても、これは大きな負担となります。

そして、なにより、70歳定年により、若者の雇用が抑制される危険性があります。

ロスジェネ世代の方ならば、記憶があると思いますが、会社に人が余っている場合、「新卒採用をひかえる」のは、企業としては当然です。

2度目の「就職氷河期」がすぐそこまで来ています!!

さして、現在の社会システムのまま、この制度を行えば、利益を得るのは、

❶年金の支給開始を遅らせることで政府支出を抑制できる国、

❷天下り制度を公に容認されることで利益を得る官僚、

そして、

❸人材派遣や神座紹介ビジネスを行う企業くらいで、それ以外の国民、外国人労働者にも何のメリットもないように思われます。

これらの社会的な不合理は、失われた30年を放置した、私たち今を生きる1人1人にあるとはおもいますが、生活防衛のためには、若いうちから「自分で生きていく力」ほ身に付けることが必要です。

定年70歳時代をどう生きればよいのか?

会社、つまり労働収入のみに依存する生活は、おそらくは長くは続かず、現在の社会システム、年金制度は、本来は破たんしているます。

破たんしている制度を、ゾンビのように無理やり継続させているわけなので、

賢明な労働者は、今すぐ夢から覚めて、ぜひとも労働収入だけではなく、「自ら稼ぐ力=自ら生きる力」をつけていただきたいと思います!

合理的に考えれば、国は破たんしている年金システムを廃止し、社会システム自体を変更していく(例えばベーシックインカムなど)べきですが、

制度自体を変えるのは並大抵のものではありませんし、多くの抵抗が予想されます。

したがって、当面、個人的に対策していくべきで、以下のように会社以外から収入を得られる方法を獲得すべきです。

投資(資産収入)・・・金融資産や不動産からの収入

事業(ビジネス)収入・・・副業やビジネスオーナー、農業収入、インターネット上のビジネスなど

方法は様々ですが、今の会社に雇われ続けるというスタイルを改め、自分で食べていくという、スタンスが重要です。

半分会社員、半分自営などのワークシェアリングなどの観点や、自分で起業したり、家業として事業経営を行ったりして、小集団で利益を分配し生きていく といった、今までにない観点が今生きる私たちに必要ではないでしょうか?

この記事の執筆者

  • ふじのよしかず(藤野慶和)
  • 職業:行政書士、宅地建物取引士、ブロガー、編集者
  • 経歴:大学創業後約17年間、農業関係の独立行政法人に勤務。家畜防疫担当、輸入担当、経理会計担当の係長、課長補佐などのポストを経験、2015年退職。退職時は課長代理。10年以上の労働組合幹部キャリア(24歳で役員、28歳で最年少で書記長に就任。その後、副委員長や議長職)を持つ労使問題のスペシャリストでもある。
  • 2015年 ふじの行政書士事務所開業(所長に就任)、YCY合同会社代表

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